擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「今日の芹沢先生、化粧ノリいいですね。何か、いいことありました?」
出勤して来た美原先生は「おはようございます♪」とやたら機嫌が良さそうだった。
「美原先生こそ、何かいいことありました?」
「うふふ、わかりますー?」
聞いて欲しかったんだろうか、美原先生は鞄も置かずに私の横に近付いて来た。
「これ、彼氏に買ってもらっちゃったんですー」
美原先生は肩にかけていた有名な高級ブランドのロゴが入った鞄を私に見せ付けた。
「誕生日だったんですか?」
「いいえー?ずっと、欲しいと思ってたら彼氏がサプライズでくれたんですよ。もう、ビックリじゃないですかー?」
「え、誕生日でもないのにプレゼントくれるんですか?そんな、高い鞄を?」
「愛ですよ、あ、い。ふふっ」
愛?愛はお金で測れる物なのか?
可愛らしく肩をすくませた美原先生が、どんどん擬態した姿に見えるようになってきた。
もしかしたら、実態は相当な悪女だったりして。