擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


「香苗が言ってたけど、先生にも参加してもらうってよ」

「?・・・文化祭でしょう?参加するけど」

「神輿の方。基本的には教師って普段着なんだけど、先生にはせっかくだから一緒に楽しんでもらいたいんだって。コスプレ」

「え、えぇえっ!?ちょっと、それは勘弁してよっ!」

「俺に言われてもね」

「そんなの、怖いっ!怖過ぎる!」

「別に本気出さなきゃいいんじゃないの?周りだってコスプレしてるんだし、楽しんでる風にしてさ」

「ほ、本気って、この前、私そんなにノリノリだった?」

「参加者がカメラ向けたら、すかさずポーズしてたじゃん。慣れてたよ、あれは」

クスッと小さく笑う、たった一瞬の仕草が私の羞恥心を的確に逆撫でする。

仕方ない。だって、条件反射だ・・・。

いつもやっているから、スイッチが入った状態でカメラを向けられると思わずポーズをとってしまう。

思い出して恥ずかしくなり、両手で顔を覆って項垂れる。

「香苗は先生と一緒に思い出作りたいんじゃないかな。何だかんだ、懐いてるしね。・・・で、先生はそんな生徒の気持ちを無視するの?」


見たくない。見たくない。

絶対、ニヤニヤしてるでしょ、あなた。

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