擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
ガラガラ、とノックも無く勢い良く開け放たれたドアと共に、柏木さんの快活な声が私の名前を呼んだ。
「いいところにー!ちょうど、衣装のデザイン考えてたんだー。雅ちゃん、いい案あるー?」
「柏木さんっ」
柏木さんの手を両手でガッチリと掴むと、彼女はたじろぎ、半歩後退する。
「え、あ、ごめんなさい。つい雅ちゃんって・・・」
「私があなた達を優勝に導くから、せめて・・・、せめてっ、衣装はパロディじゃないものにしましょう!」
「う、ん?パロディって何?」
「・・・ぷっ」
後ろで結城君が小さく笑ったので、柏木さんにはバレないように睨み付けてやる。
アニメの衣装になると、きっと私はスイッチが入る。
だから、最初からオリジナル衣装を作ってしまえばキャラクターになりきることはないだろう。
文化祭。私の教師人生の試練だと思おう。