擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


「こういう所、良く来るんですか?」

「ここは初めて」

「ここも、すごくお洒落ですよね」

「気に入った?」

「はい、とても」

微笑むと、佐久間さんは「良かった」と昔と変わらない屈託無い笑顔を見せる。

「芹沢はいつも、どんな店行くの?」

「い、いつもですか?」

「うん。今はセーブしてるんだろうけど、実は酒呑みだろ?」

バ、バレてる。

やっぱり、この前のイタリアンでのお酒は何でも大丈夫発言が墓穴を掘ったか。


佐久間さんは少し、からかうように口元を緩ませる。

「行きつけの店とかあるなら、行ってみたいな」

「行きつけの・・・」

大漁旗とか掲げられ、パーソナルスペースも狭過ぎて、隣のおじさんが突然踊り出したりする店ですが。

「じゃあ、今度は私がお誘いします」

別の店を探しておこう。

もっと、女子力高めな雰囲気のある店だ。

「お、マジ?やった!」

佐久間さんが意外にも子供っぽくはしゃいだので、ちょっと嬉しい。

そう言えば、私ってば今さらっと次の約束を取り付けたよね?

で、佐久間さんは喜んでくれたみたいで・・・。

これは、本当に脈ありと見ていいんだろうか。

時間が経つごとに期待は募っていくばかりだ。


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