擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


「どうしたんですかー?溜息なんて吐いて」

無意識に出てしまっていたのか、席に座るなり音楽の美原先生がのんびりとした口調で訊ねてきた。

美原先生が動くたびに揺れる巻き髪に乗って、最近彼氏に貰ったと自慢していたローズ系の香水の香りが私の鼻をくすぐった。

授業に関係無い私物は没収するのがルールとなっている、この学校で教師自ら趣向品を身に着けているのはどうなんですか、と指摘したことがあった。

だけど、美原先生は「つけるのは首筋だけにするから」と良くわからない条件を作って、聞き入れようとはしなかった。

「生徒達に先生扱いされていない気がするんですよね」

また溜息が漏れると、美原先生が「幸せ逃げちゃいますよ」と可愛らしく口を尖らせた。


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