擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


次の日、文化祭の後片付けも終わって昼食を摂っている時に柏木さんがクラスに戻って来るなり、私の前でこっそり耳打ちした。

「普通通りにできたと思う」

そう言って、にっこり笑った。

「あやかろうかな」

「何を?」

不思議そうにしている柏木さんには微笑むだけにしておいた。



その日の夜に女子が行きそうなダイニングカフェを探し出し、佐久間さんにメッセージを送った。


この前のお礼もせずにすみませんでした。
今度は私がお誘いするって約束でしたよね?
いつなら空いていますか?


意を決して送信して、ベットに体を埋めた。

その数分後にメッセージを受信する効果音が鳴って、慌てて確認する。



良かったー。
もう連絡とってくれないのかと思った。
もし、芹沢が良ければ休みの日に会わない?
再来週の土曜とか。映画は好き?



うわ、王道デートっぽい。

自然と嬉しくなって、すぐにスマートフォンを操る。



映画、好きです。
土曜日も大丈夫です。


そっか、じゃあ土曜日にしよう。
詳細は後で連絡するよ。


はい。
お店の予約はとっておきますね。
楽しみにしています。


俺も楽しみだ。



メッセージのやり取りを終えて、余韻に浸りながら携帯を胸に抱いた。


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