擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
「あの試合、ガチガチに緊張してて、フリースローを2本ともミスったんだよ。あのフリースローさえ入ってたら、負けてなかったかも、って思ってさ」
「ああ・・・、それで、ゴールの練習ばかりしてたんですか?」
「そ・・・。今でも夢に出て来るんだからな、あの時の光景」
また、思い出してしまったのか、あからさまに落ち込んでいる。
「でも、あの後に先輩達が言ってたじゃないですか」
佐久間がいなかったら、ベスト16にすら入れてなかったよ。
俺達に夢を見させてくれて、ありがとう。
「良く覚えてんなぁ・・・」
「感動したんです、私。だから全力で、このバスケ部をサポートしていこう、って思ったんです」
「知ってる。俺達は、芹沢に助けられてたからさ」
「本当ですか・・・?役に立ててました?」
「当たり前だろ。マネージャー業務はソツなく熟すし、意外と厳しかったよね」
「そう、でした・・・?」
「部室とか汚くしてると、部室の乱れは心の乱れです!とか言って、全員で部活前にロッカー清掃始めたりしたよね」
「何でそんなこと覚えてるんですか!」
「悪いことじゃないじゃん。しっかりしてたもんなぁ、芹沢は。芹沢ってあれだったろ。小学生の時、掃除サボる男子を叱る女子」
・・・どうして、それを・・・。
「お、やっぱりだ。そうじゃないかなーって思ってたんだよ」
私が何も言わないことを肯定と思ったらしい、佐久間さんはクイズに正解したかのように喜んだ。