擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
赤くなったりするな、私っ・・・!
反応を示せば、肯定したみたいになるじゃないか。
違うのに、違うのにっ・・・!
「ぷっ・・・、顔真っ赤」
「こっ、ここ、これは、結城君が、変なこと、言うっ、から・・・!」
「そうやって、動揺されると期待しちゃうんだけど、俺」
結城君は私の手を取って、目を伏せながら顔を近づけて来る。
「ま、待って・・・」
「待たない」
自分はどうして逃げない?
だって、結城君の手が私をそうさせない。
振りほどけない程強い力?
ううん、そんなことない・・・。
私は、受け入れようとしてるの・・・?
「先生。こっち」
目の前に迫った結城君の唇が緊迫感を持たせた。
手を引かれて、理科準備室に入り込むと結城君はドアを背にして小窓から外を伺った。
「どうかしたの?」
「黙って」
結城君は私を後ろから抱き込む形で私の口を押さえる。
心臓が、うるさい。
息が、できない。
口元に当てられた結城君の手。
子供っぽくない大きな手だな・・・。