擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
その直後、理科室のドアが開けられ、女子生徒が会話をしながら入って来た。
一瞬にして張り詰めた空気が周りを漂う。
こんな状態で見つかったら、どうしよう・・・。
最悪の状態を想定して、必死になって言い訳を考えても、何も思いつかない。
「大丈夫。もし、見つかっても俺が何とかする」
耳元で囁くような声は優しい中に芯のある、強い意志が感じられた。
耳が熱くなる。
頭の中に結城君の声が響いて、心が掻き乱れる。
こんなの、こんなの、私じゃない。
どんどん、自分が壊れていく。
理想が崩れていく。
そんな事実は受け入れたくなくて、目を強く瞑った。
結城君が私の心の中から消えてしまえばいいと思いながら。
「もう大丈夫。行ったよ」
安心させるような柔らかい声と共に私は解放された。