擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
何のことを言っているのかわからなかった。
眉根を寄せていると、結城君が溜息を吐いた。
「酷いな。俺が告白したこと忘れた?」
「ま、さか・・・」
「俺が社会に出たら、いい加減俺のことを本気に考えてくれないかな」
「馬鹿なことしないで!」
「馬鹿なこと?何それ。俺は本気だって」
「そんな理由で人生台無しにしないで」
「台無しかどうかは先生が決めることじゃない。良い大学に入ったって、意味無いんだよ」
「今の選択こそ意味なんて無い。お願いだから考え直して」
「考え直したって、先生は俺のことを真剣に考えてくれない。そうでしょ?」
「そんなの、当たり前でしょ!?生徒と教師が・・・」
「うるさいなっ!それはもうわかったから!」
「ちゃんと聞いてっ!!こんな一時のことで人生変えたりしないでって言ってるの!何でそんなことがわからないの!?」
「一時?一時だと思ってるの?俺が一時の感情で先生のことが好きだって?」
「一時よ。高校を卒業したら、もっといろんな出会いがある。広い世界が待ってる。結城君がいる場所はまだまだ序盤なんだから」
「へぇ・・・。やっぱり、先生もそう思ってたんだ。俺とは一時のことだって。文化祭の時にははぐらかされたけど、本当は卒業するまでのことだって思ってたんでしょ。生徒の手前、言えなかったってところかな」