擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
結城君と関わることが一時のことだなんて思ってない。
自分の気持ちに気付いてから、どうして、君は生徒なんだろう、って思った。
生徒と教師なんかじゃなければ、と。
結城君とのことが、一時の出来事だったら、そう割り切れたら、私はこんなに苦しくないのに。
「そう。私と結城君は高校っていう箱の中だけの関係だもの。そこを出たら、もう、関係無くなるのよ」
この嘘だけは、見破られてはいけない。
教師という枠から、決して外れてはいけない。
結城君は私を鋭く睨みつけた。
冷たくて、切り裂かれそうな、そんな目。
殺すよ、と言った時にしていた目はこれだったのかも。
怖いと思うのに、同時に、切なさが込み上げる。
そんな目をしなくてはいけない程に傷つけて、ごめんなさい・・・。