擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


結城君と関わることが一時のことだなんて思ってない。

自分の気持ちに気付いてから、どうして、君は生徒なんだろう、って思った。

生徒と教師なんかじゃなければ、と。

結城君とのことが、一時の出来事だったら、そう割り切れたら、私はこんなに苦しくないのに。


「そう。私と結城君は高校っていう箱の中だけの関係だもの。そこを出たら、もう、関係無くなるのよ」


この嘘だけは、見破られてはいけない。

教師という枠から、決して外れてはいけない。



結城君は私を鋭く睨みつけた。

冷たくて、切り裂かれそうな、そんな目。

殺すよ、と言った時にしていた目はこれだったのかも。


怖いと思うのに、同時に、切なさが込み上げる。


そんな目をしなくてはいけない程に傷つけて、ごめんなさい・・・。


< 240 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop