擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
何で、そんな事を言ってしまえる程、自信があるのだろう。
どう考えても危険過ぎる。
結城君の将来を考えれば、教師の私がそれを台無しにするリスクとなることは絶対に避けなければならない。
真剣な眼差しに揺れ動く自分の心に気付きたくない。
毅然とした態度を貫き通したい。
なのに、なのに・・・。
「それは、何の涙?」
言葉にできない気持ちや自分の中の処理しきれない葛藤が抑えきれない涙となって物質化してしまった。
結城君への気持ちは抑えておかなければならないのに、結城君の言葉が嬉しくて、抑えられなくなってしまった思いが涙になって止まらなくなった。
「失格だ・・・。教師、失格・・・」
「自分のことそんなに責めないでよ。俺が失格になんかさせない」
髪から頬に流れるように触れていく手が優しい。
柔らかい口付けに、また涙が止まらなくなる。
「また、秘密が増えちゃったね?」
結城君はとても優しく笑って、また唇を重ねた。