擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
私は1年生の担任で、教室がある階が違うこともあって結城君と顔を合わせるのは週2回の数学の授業くらい。
接点が少なければボロが出難い反面、外で会うのは危険すぎるので結城君は私の部屋に良くやって来る。
遅い時間になることはわかっている時にはご飯まで作ってくれるから本当に頭が上がらない。
「ご飯を作ってくれるのはすごく有難いんだけど、結城君は受験生なんだから申し訳ないよ」
「1人分も2人分も同じだから」
結城君は自分の部屋で下ごしらえをした材料をいくつか持って私の部屋で調理をしてくれる。
それをテーブルに並べながら何とでもないように手際良くキッチンも片付けている。
「勉強はしてるしね。それに、先生ってあまりまともな食事摂ってなさそうだし」
見たことないはずなのに、当たっているところが怖い。
私の料理とも言えないいつもの夕食は、結城君の数々の料理に完全に劣る。
おかげて体が健康になっていく気がしている。