擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
ふと、視線を上げた結城君と目が合う。
「先生が考えてる事だいたい予想つくんだけど」
「う、嘘」
「寂しくないの?とか、それでいいの?とか、そんなところじゃないの?」
言い当てられて、咄嗟に何も返せず、結城君はふっ、と笑って「やっぱりね」と見透かしたように言う。
「一人暮らしの方が気楽でいいよ。それに、一旦グレた時にも父親は俺の事見捨てなかったし、一人で育てるのも苦労したろうしね。やっと幸せになったんだから楽しんでほしいよね」
「優等生でいるのは、お父さん達に心配させないため?」
「まぁ、そうかも。俺の事でもう煩わせたくないかなって」
結城君がそう思っているのなら、私が同情したりするのはおかしなことだ。
結城君家族の事を少しも知らないんだから。
でも、結城君の事を誰よりも思って、なりふり構わず心配してくれる人の存在は?
本来なら一番は親になるんだろうけど、結城君はそれを望んでいない。
だとしたら・・・