擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
部屋に帰るとビールを飲んで、今日の疲れと共に息を吐き出す。
この夜の日課は自分を保つ上で絶対に無くてはならない作業だ。
邪魔な前髪をゴムでまとめてチョンマゲを作り、録画していたアニメを再生。
30分堪能した後、洗濯物を干していることを思い出し、酔いが回った足取りでベランダに出る。
夜露で湿ってしまった服を回収し、ふと1着足りないことに気づいた。
周辺を探してみたり、下に落ちたんじゃないかと身を乗り出してみたりもした。
そして、もしやと思って隣の部屋のベランダをこっそり覗き見た。
隣のベランダにオレンジ色の服が広がっているのを見て、私は一気に血の気が引いた。
あれは、私の力作!!
どうやって滑り込んだのか考える間もなく、持っていた洗濯物を部屋に思い切り放り込み、オレンジ色の布目掛けてベランダ同士の仕切りの下に手を伸ばす。
もう少し、もう少し。
顔を仕切りの壁に押し付け、つりそうな手を必死に伸ばす。