擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
結城君に励まされながらも、私達は何とか市民ホールに戻って来れた。
舞台裏への入り口に飛び込むと、フラフラとした足取りで裏方の1年生に衣装を託した。
「あ、ありがとうございます!急いで準備に入ります!」
ま、間に合った・・・。
安心と疲労で私は床に膝をついた。
「大丈夫ですか?先生」
結城君も息があがっているのに、私の横にかがみ込んだ。
「大丈夫・・・。今、物語はどの辺かな」
「もうすぐラストみたいです。観客席に戻ってもまだ間に合いそうですね」
柏木さんはこのまま最後まで裏方をやり通すとのことで、私と結城君で観客席の方に戻り、壁際で演劇部の舞台を鑑賞した。