擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~
ひとしきり、演劇部と喜びを分かち合った後、衣装や小道具を片して保護者の車への搬入まで手伝った。
「・・・先生って気にしすぎ?って思うんだけど」
結城君は段ボールを2つ重ねて持ち上げ、衣装を抱える私の横に並んで来た。
小道具と言えど集まれば重量感はそこそこあると思うのに、段ボール2つを軽々持つところは、細腕と言えど、やっぱり男の子なんだな、と感心してしまう。
そうして、自分がその腕にお姫様抱っこされてしまったことを思い出し、すぐに振り払ってから「何のこと?」と、まるで自分の考えていたことをとぼけるように訊き返した。
「皆が雅ちゃんって呼ぶのは別に馬鹿にしてるからでも舐めてるからってわけでもないよ。ちゃんと、先生の事を先生と認めてる」
「そう、かな」
「さっきのでわかんなかったの?真っ先に先生のところに皆集まって来たじゃん。で、一緒に泣いて喜んだでしょ」
まだ瞳には熱が残っていて、違和感がある。
でも、これは皆で喜びを分かち合った何よりの証拠だ。