Thug Life in LA

生と死

Shown 『テメーもっと早くブッ飛ばせ!!』

Tony 『うるせー! これが精一杯なんだよ!!』

Skye 『大丈夫だ Theo! もうすぐ病院だからな!』

ヤツは右下腹に2発、右肺辺りに1発食らっていた。 どう考えても狙い撃ち。 ターゲットにされていたのは俺ではなく Theo だった。 ブランケットで傷口を押さえても血が全く止まらず、体温が下がっていくのが分かる。 微かな声を振り絞り、

『・・・勉強・・・・頑張れよ』

と言ったまま、出血多量でついに呼吸が止まる。

『死ぬんじゃねぇーーーーーー!!!!!!』

何とかしようと色々試みたが俺達の必死の努力も空しく、何度問いかけても二度とヤツは戻って来なかった。 

3人とも無言で放心状態。 ハイウェイの騒音など何も聞こえない。 ダウンタウンの高層ビルや夜景が涙に霞んで見えない。 病院に着いたが時既に遅しだった。

Shown の手当てが終った後、俺達はすぐに警察に連行される。 別々に隔離されて入れられた取調室。 2人の白人警官が入ってきて状況をしつこく聞く。 

あまりにも口を割らない俺に対して1人の警官がロン毛をワシ掴みにし顔面に一発、間髪入れずに相方がもう一発。 椅子ごと俺は吹っ飛ばされた。 もちろん他の2人も同じ目に合ったが、誰も口を割らなかった。
 
ボコボコにされたが結局3人揃って釈放。 アメリカではこんなの当たり前。 この国の警察ほど悪どい人間はいない。 

もちろんアジア人が一人死んだぐらいではニュースにすらならかった。 
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