Thug Life in LA
カレッジライフ
大学はビーチ沿いにあったので、Shown と Tony に別れを告げスラムを去った。 色んな思い出があり、実際に離れる時は寂しさもあったが、更に自分を成長させる為にスラム生活にピリオドを打った。

大学の掲示板に張ってあった『ルームメイト募集』を見て、きれいなアパートなのに家賃は1/3と安かったので即決した。 

ルームメイトは Monica という30代後半の優しい白人女性。 

俺とは違い昼夜が逆な生活をしていて、一緒に住んでいてもほとんど会う事がなく、気を使わない分楽だった。 仕事は『社会奉仕』としか教えてくれなかった。 

真面目に働いている感じだったので特に気にはしていなかったが、ある日俺が風邪で寝込んだ時の事だった。 自分の部屋で寝ているとドアが開く音がしたので、薄っすら目を覚ますと、警官の服を着た Monica が、

『体調はどう? 私はこれから仕事に行くから』

と言い去っていく。 LAPD の警察官バッジに手に持っていた帽子、腰から垂れる警棒と拳銃・・・仮装パーティーではなく間違いなく本物だった。 その瞬間、今まで自分がしてきた悪事が頭をよぎり焦りを感じた。 

それから数日後、一緒に紅茶を飲みながら彼女と話す機会があった。 ポリスアカデミーの犯罪課をトップクラスで卒業し、今では第一線で働く彼女。 

『この間はビックリしたでしょ? ゴメンね。 自分が警察官だと知られたくなかったの』

と俺に謝る。 

全く・・・謝りたかったのは俺の方だ。 俺の様な奴らが街を荒らしていたのだから。

現役警察官と元ギャングが仲良くお茶を飲み、一つ屋根の下で一緒に暮らす・・・俺に取っては異様な光景だった。 彼女は警察の裏組織を知り過ぎてしまい、警察官という道を選んだ事を後悔していると言う。 

オープンマインドな彼女は様々な話をしてくれた。 俺も次第に心を開き、過去の苦い経験を話す様になっていった。 休みの日が合えば、あれだけ嫌いだったパトカーに乗り一緒に海岸線をドライブへ行った事もあった。 不器用だった俺に、女性に対する気持ちの表現の仕方やいたわり方までも教えてくれた。 

白人も警察官も、全て悪い奴らだけじゃないと気が付いた。 
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