Thug Life in LA
ある日、学校の掲示板に『アメリカへホームスティしよう!』という張り紙を見つけた。 『今までずっと憧れだったアメリカという国を知るチャンスだ!』と好奇心でいっぱいになり、すぐに申込書にサインをした。 お金は子供の頃から貯めていた自分の預金を使った。 

パスポートの意味すら知らなった自分が、始めて異国の地、そして憧れだったアメリカへ渡った。

子供の頃に見たCMの光景が実際に目の前にあり、見る物全てが新しく、日本人の様に疲れきった顔をした奴らなどはいない。 人生を精一杯生きて、それでいて思いっきり楽しんでいる様にも思えた。

だが、『言葉の壁』というものに対して『中学・高校と真面目に勉強してりゃこんな事はなかったのに』と強く後悔した。 同時に『英語を覚えたい。 世界中の人達と会話してみたい』と、単純な理由かもしれないが、気付いたら自分の人生の中で生まれて初めて真剣な目標というものが出来ていた。

帰国後、必死でバイトをして留学資金を貯めた。 そしてある日の夜、親に『卒業したらアメリカへ行きたい。 勉強したいんだ』と告げた。 俺の口から『勉強したい』というセリフがよほど嬉しかったのだろうか、『いいよ、何でも協力するから頑張って行っておいで』と言い、母は目の前で涙をこぼした。 確かに今まで散々迷惑をかけてきただけに、その母の涙は『絶対にアメリカ人並みに英語を話せる様になって帰国してやる』と自分に強く決意させてくれた。 

初めて買ったスーツケースにマジックで『HOPE』と願いを込めて書き、不安と期待を胸に単身渡米。 

想像を絶する過酷な『Thug life in LA』が待っている事も知らずに・・・
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