四角いジャングル
「だがお前は違うだろう、三沢」

サンドバッグ打ちをやめて、今度はリングに上がる三沢。

その背中に、武藤は言う。

「お前はオールジャパンに入団してから今まで、根っからのベビーフェイスだ。他所の団体でやった事もないし、俺みたいに状況に応じてヒールもやれるような器用さはない…観客からのブーイングが、堪えるんじゃないのか?」

「……」

三沢はマットの上でスパーリングパートナーとロックアップし、関節の取り合いを演じる。

寝技から立ち技の攻防。

そして素早くスパーリングパートナーの腕を背後から閂のような形(ダブル・チキンウィング)に極め、そのまま投げる!

タイガースープレックス。

エルボーが『エルボーの貴公子』のもとならば、タイガースープレックスは『猛虎』の異名のもととなった技。

投げられた相手は腕を固定されている為に受け身が取れず、大きなダメージとなる。

また、下手に受けると肩の関節を外してしまう危険がある。

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