四角いジャングル

二発のミサイルキックでダメージを受けた三沢に、大谷は素早く組み付いた。

三沢を背後からフルネルソン（羽交い絞め）の体勢に捕らえる。

直前のモーションだけで会場が大きくどよめいた。

この体勢は、大谷のフィニッシュホールド、ドラゴンスープレックス！

無論大谷との対戦が決まった時点で、三沢も相手のフィニッシュムーブくらい調べている。

懸命に抵抗するものの。

「うおりゃあっ！」

大谷は後方に反り投げ、そのままブリッジで三沢をフォールする！

本来は相手の頸椎を痛める行為である為、ブリッジからのレフェリーストップが目的の技と言われ、後頭部、背中、呼吸器にダメージを受ける。

しかし。

「1、2、ス…！」

レフェリーがカウント3を取りかけた瞬間。

「くっ！」

三沢は身を捩ってフォールを返した。

カウント2.9。

その攻防に、観客は歓声を上げた。