四角いジャングル
大技を次々繰り出し、しかもそれを返す激しい攻防。

会場は熱気に包まれる。

ニュージャパンと外敵の対抗戦の初戦から激しい戦い。

ニュージャパンのファンは三沢の強さに驚愕し、オールジャパンのファンは大谷の強さを改めて見直していた。

這いずるように立ち上がる両者。

リング中央でヨロヨロとふらつきながらも。

「おらぁっ!」

大谷が三沢に逆水平チョップを見舞う!

するとエルボーで返す三沢。

逆水平を打つ大谷、エルボーを打つ三沢。

満身創痍の両者の、意地の打ち合いが続く。

しかし何発目かのエルボーで、大谷がグラリとよろめいた。

チャンスだ!

三沢は左右から交互に繰り出すワンツーエルボー、体を旋回させながら繰り出すローリングエルボーと連続で叩き込み。

「おおぉおぉぉおぉっ!」

ロープに飛んでから反動を利用したランニングエルボーを叩き込もうとしたところで。

「ぐおっ!」

カウンターのローリングソバットを打ち込まれた!

今度は大谷のチャンス。

前屈みになった三沢の正面に立ち、両膝で頭を挟んでから両腕を胴周りに回してクラッチし、三沢の身体を反転させながら自らの頭上まで跳ね上げる。

パワーボムの体勢。

だが、恐らくこのまま叩き付けた所で三沢は立ち上がるだろう。

普通のパワーボム程度で、三沢は仕留められない。

そこで大谷は、パワーボムの状態から一時静止し、グルグルと螺旋を描くようにして開脚式で三沢を叩き付ける!

咄嗟の閃きで大谷が繰り出した、オリジナルのパワーボム。

後に『スパイラルボム』と呼ばれる事になる、大谷の新しいフィニッシュホールドだった。

回転する事で受け身を取りづらくする効果があった。

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