四角いジャングル
クリーンな攻防の末に、こういった技を極めたのならば、蝶野の技術を称賛もするだろう。

しかし急所攻撃で作った隙を利用しての技ならば話は別だ。

バタフライロックに苦しむ桜庭を嘲笑うかのように、蝶野は笑みを浮かべて締め付けを強くする。

尚もブーイングに包まれる会場。

だがブーイングはヒールに対する称賛。

ブーイングが多いほど、ヒールレスラーは優秀な悪役という事になる。

観客の憎悪を一身に浴びる蝶野は、稀代のヒールと言えた。

執拗にバタフライロックで桜庭を痛めつける蝶野。

このままギブアップを奪うもよし、ギブアップしないなら別の技に移行するもよし。

手段を問わない分、蝶野の方が有利と言えた。

地力でも桜庭と互角に渡り合える実力を持っていながら、形振り構わぬ行為で相手を倒しに行く。

桜庭はやられっ放しになるしかない。

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