四角いジャングル
相手の片腕を前に引き出し、引き出した腕と逆の自分の脚(膝裏)を相手の首にかけて前に崩す。

首にかけた脚の足首を立てた状態で、もう一方の自分の脚をかぶせ、相手の肩と頭が抜けないようにする。

両膝と頭と肩のある隙間を小さくするようにもっていき、絞める。

自分の内腿と相手の肩(三角筋)により相手の頚動脈が絞まる。

これが三角絞め。

プロレスではトライアングルチョーク、もしくはトライアングルスリーパーホールドとも呼ばれる。

絞め技なので、相手をギブアップに追い込んだり、そのまま失神させる目的で使用する。

自ら負けを認めさせる、ある意味では残酷な技だ。

しっかりと猪瀬の頸動脈を絞め上げる桜庭の両脚。

このまま血流を止められれば、脳に血液がいかなくなり、やがては失神…俗に言う『おちる』状態となる。

会場からは、桜庭に対する『おとせ』コールが上がる。

顔を紅潮させ、必死に耐える猪瀬。

三角絞めは完全に極まっている。

ポジションもリング中央で、ロープブレイクでは逃げられない。

完璧な位置取りだ。

猪瀬は最早、ギブアップするしか逃げ道がない。

しかし。

「っっっっっっっ…!」

何と猪瀬は三角絞めを極められたまま、桜庭の体を高々と持ち上げる!

そしてそのままマットに叩き付ける!

変形のパワーボム、総合格闘技や組み技系格闘技で言う所のバスターだった。

< 234 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop