四角いジャングル
ジャージ姿のままリングに上がり、他の選手達同様マットの感触やロープの張り具合を確認する猪瀬。

この段階から、既にピリピリした表情をしている。

地方で行われる試合と言えど、決して妥協はしない。

団体のトップエースとして負ける訳にはいかないし、ファンの前では、いつも全盛期の『炎の闘魂・猪瀬 寛至』の姿を見せなければならない。

特にニュージャパンでは、他のプロレス団体のようにケーフェイ(プロレスでの試合・闘いがあたかも演技・演出ではないかのような幻想を人々に与え続ける事、つまり演技を続ける事を指すプロレス関係者の隠語)がない。

つまりプロレスでありながら真剣勝負なのだ。

取り組み方における真剣さが違った。

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