四角いジャングル
テキサスクローバーホールドに移行した事で、より膝を痛めつける形となった。

歯を食い縛り、額に汗を滲ませ、猪瀬は激痛に耐える。

ギブアップの問いかけをするレフェリー。

しかし。

「三沢…」

技をかけられたまま、猪瀬は三沢に言う。

「お前…この技で俺の足を壊す覚悟があるか…?」

「……!」

思わず振り返る三沢。

猪瀬は信じられないような力で極められたまま這いずると、一気にロープを摑む!

ロープブレイク。

レフェリーの指示により、三沢はテキサスクローバーホールドを解除する。

試合再開。

だが、三沢は猪瀬の先程の言葉が耳から離れない。

そんな困惑を見透かすように。

「ギブアップの為に技をかけてるのか、三沢」

痛めた足を引き摺りながら、猪瀬は言う。

「そんな事じゃあ俺には勝てねぇな」

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