四角いジャングル
ドラゴンスープレックスにスワンダイブにスパイラルボム。

大谷の必殺フルコースだ。

これだけ食らわせれば。

そう考えながらフォールに入ろうとした大谷は。

「!?」

再び猪瀬が仕掛けてきたグラウンドコブラに絡め取られる!

逆にピンフォールの体勢に持ち込まれ。

「1、2…!」

カウント2で慌てて技を解除する。

これだけ痛めつけられておきながら、まだこんな真似をする余裕があるとは。

猪瀬の強かさに、大谷は戦慄すら覚える。

一瞬の隙さえあれば、この男は試合を決する事が出来るのだ。

こんな男だからこそ、ニュージャパンの絶対王者として君臨していられたのかもしれない。

「……」

ユラリと。

静かに立ち上がる猪瀬。

ダメージがない筈はないだろうに、その立ち姿には、付け入る隙が全くないように感じられた。

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