四角いジャングル
自らが選んだ曲、『Believe S-Road』が会場に流れる中、大谷は花道を歩いてリングへと歩いて行く。

多くの観客が見守る会場。

リングまでの道のりが、あまりにもあっという間だった。

ロープを潜り、セルリアンブルーのマットを踏みしめる。

リング上から見ると、観客の数は更に多く見えた。

こんな大人数の前で試合をするのか。

そう考えると、大谷はガチガチとなる。

緊張で心臓の鼓動しか聞こえない。

いつの間にか対戦相手の桜庭もリングに入場して。

「おい!」

大谷はセコンドの藤原に肩を叩かれ、我に返った。

「コールされるぞ」

言われた通り。

「青コーナー、181センチ107キロ、大谷ぃ、晋二ぃっ!」

自らの名がアナウンスされ、大谷は緊張したままリング上で一礼した。

「赤コーナー、180センチ85キロ、桜庭ぁっ、和人ぉっ!」

対する桜庭は、既に何度も試合をこなしている経験の豊富さから、観客の声援にも片手を上げて応えた。

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