四角いジャングル
が。

「反撃だ!反撃しろ!何でもいいから手ぇ出せ!」

セコンドの藤原が叫ぶ。

藤原は、大谷の方が20キロも体重が重いと言っていた。

技の威力は体重に比例する。

その通り、耐えられないほどの威力ではない。

組み付いてくる桜庭の胸を押し返しつつ、大谷はぎこちないながらもエルボーを桜庭の側頭部へ!

油断していたのか意表を突かれたのか、桜庭は僅かに仰け反り、後退した。

効いている、デビューしたばかりの大谷の技でも、ちゃんと効いている。

大谷はプロレスラーとして戦えているのだ!

その事に勇気づけられ、彼は果敢に攻勢に転じる!

何度も何度も、桜庭の側頭部に肘を打ち込み、リング中央まで押し返す。

そして桜庭が怯んだ隙に、その場でジャンプして両足を揃えて足裏で蹴る!

プロレス技の基本中の基本、ドロップキック!

しかし綺麗に決まり、胸板に蹴りを食らった桜庭はダウンした。

< 57 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop