四角いジャングル
「ん」

特に感銘を受けた様子もなく、猪瀬は一度として大谷の顔を見る事もなかった。

「それじゃあ、これで入門テストを終わる。結果発表は30分後に」

それだけ言い残して、猪瀬はさっさと道場から出ていった。

「……」

無言のまま、大谷は猪瀬の背中を見送る。

彼の印象に残る事はなかったのか。

顔さえ見てもらう事は出来なかった。

体力テストでの疲労感が癒えぬまま、憧れの猪瀬の反応に、大谷の落胆は大きかった。

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