四角いジャングル
海外選手はパワーもスタミナもあり、3カウントをとるのも一苦労だ。

猪瀬はフライを前屈みにした状態で横に立ち、片方の足を絡め、残りの足を相手の頭部に引っ掛けた状態で、片腕をフライの背中側に直角に曲げ、自らの片腋に抱え込むという複雑な形に持ち込んだ。

卍固め。

プロレスではストレッチ技という形態に分類される。

肩や脇腹に最もダメージを加える事ができ、腰や首筋などにも痛みを与える事ができる。

スープレックスのように一撃でフォールを奪うのではなく、痛みによってギブアップを奪う事を目的とした技だ。

全身の力を込め、絞り上げる事でフライを痛めつける猪瀬。

「ヘイ、フライ、ギブアップッ?」

レフェリーもフライに対して問い掛ける。

「ノー!」

苦痛の顔を歪めつつも、ギブアップを拒否するフライ。

観客達は興奮し、猪瀬、フライ、両選手のコールが巻き起こる。

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