四角いジャングル
2対1という不利な状況で、いいように痛めつけられる猪瀬。

ゴングはいまだ打ち鳴らし続けられているが、フライと藤原は傍若無人の振る舞いを続けている。

正面から猪瀬の両腋に自らの両腕を差し込み、腰周りを両腕で抱え込んで後方にブリッジして投げるフライ。

彼の得意技の一つ、フロントスープレックスだ。

後頭部をマットに叩き付けられ、悶絶する猪瀬。

そんな彼を引き摺り起こした藤原が。

「ぐぁあぁぁぁっ!」

脇固めを仕掛ける!

肘の関節を極められ、痛みに呻く猪瀬。

最早プロレスですらない、公開処刑だ。

ヒールと化した藤原とフライの二人が、ベビーフェイス(善玉として振舞うプロレスラー)の猪瀬を甚振り続ける。

大混乱のリング上。

その時!

「ぐぁっ!」

花道を走ってリング内に飛び込んできた大谷が、藤原とフライの側頭部に、立て続けにエルボーを連発!

孤立無援の猪瀬を救出した!

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