四角いジャングル
大谷が猪瀬に連れていかれたのは、自分では絶対に入る事のないような高級焼肉店だった。

「プロレスラーは体が資本だからな。ジャンジャン食って体を大きくしろ」

勝手に山ほど肉を注文し、勝手に山ほど肉を焼き始め、勝手に山ほど肉を大谷の皿に載せる猪瀬。

「あの…猪瀬さん」

そんな光景を唖然とした表情で見つめながら、大谷はようやく言葉を紡ぐ。

「何で俺を…飯に誘ってくれたんですか…?」

「ん?」

自らも焼き上がったカルビを頬張りながら、猪瀬は言う。

「この間の藤原の襲撃で、お前に助けられたからな…その礼だ」

「助けたなんて…俺も結局は藤原さんやフライ選手に返り討ちに遭いましたし…」

「謙遜するな」

猪瀬は箸を置く。

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