四角いジャングル
「あの状況…ウチの団体で、藤原やフライは中堅…下手すると俺に続く二番手三番手のレスラーだ。なかなか助けに入る事なんて出来るもんじゃない。プロレスの世界で下の者が上に咬みつく…下剋上は、そう簡単な事じゃないからな」

だが、と。

猪瀬は大谷の顔を見た。

「デビュー間もないにもかかわらず、お前は俺を助ける為にリングインした。相手は師匠である藤原にもかかわらずだ。師弟関係よりも、2対1で俺を痛めつけるというやり方が許せない…そっちの方を取った。そうだろう?」

「……」

黙って頷く大谷。

「新人の癖にその度胸…そしてその男気…俺はそれが気に入ってな」

猪瀬は言った。

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