四角いジャングル
かつての弟子のアキレス腱を絞り上げて、苦痛を与える藤原。

『てめぇ如きひよっこが、俺に刃向かおうなんざ百年早い』

そう言わんばかりの鬼の攻めだ。

「ぐぅぁあぁぁあぁあぁぁっ!」

本当に足首から先が千切れるのではないか。

そう思えるほどの攻めに、大谷は額に脂汗を滲ませてもがき苦しむ。

関節技は、極まってしまうと有効な対処法はない。

ロープブレイクで逃げるか、ギブアップするか。

ひたすらに耐えた所で、永遠に耐えられるものではない。

極められた箇所が破壊されるか、その激痛に失神してしまうか。

どちらにせよ敗北しか残されていない。

必死にマットを這いずり、ロープに手を伸ばす大谷。

レフェリーのギブアップの問いかけを頑なに拒否しつつ。

「~~~~っ!」

ようやくロープを摑み、大谷はアキレス腱固めから逃げおおせた。

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