日本刀と青春
燃えて崩れ落ちる校舎逃げまどう先生や生徒達……
「八木あれは、なんだ?もしかして日本刀か?」
内藤の言葉で俺は、現実に戻された。戻りたくない現実に。
それは、確かに日本刀だった。
剣道部の顧問が持ってきて木を切る練習をしたのをまだ置いていたのだ。
外見は、かなり傷んでいたが刃は、ギラギラしていた。
戦争時に使われていた軍刀だったらしい。
顧問は、剣道四段で少し変わっていた為に実践の刀とはどういう物かを俺達に教えたかったのだろう。
軍刀のほとんどは、昔の日本刀とは違い実戦向きではなかったらしいが、顧問が持ってきていたのは、実戦的な日本刀に近い物だった。
しかし、実際に木を切ろうとすると最初は切れなかった。
道場の真ん中に木を据えて部員全員がやったが二度目で切れたのは俺だけだった。
部員といっても三年生は、辞めていて二年と一年で男女十五人ほどしか居なかったが。