学生結婚しちゃいました
私も幸太くんも、理玖くんの低い声と、黒い笑顔に何も言えずにいた。
「松岡くん。陽菜は家に連れて帰る。
明日陽菜の荷物…取りに行くから、良ければ纏めておいてくれないかな?
その時に色々と報告させて貰うよ。」
理玖くんが、幸太くんに向かって、先ほどとは違う柔らかい声で言った。
「……先輩…。
陽菜を先輩の元に戻しても良いって思っていいですか?
陽菜が…声を押し殺して泣くようなことは…もう二度とないですか?」
私が声を押し殺して泣いている姿を、幸太くんは何度見てきたのだろうか?
「大丈夫。
嬉しくて泣くことはあるかもしれない。
悲しいことや、辛いことがあっても、俺が居るところでしか泣かせないから。」
「じゃあ俺…帰ります。
荷物は纏めておきます。」