近くにいた王子
1.いきなりの失恋
麻本光、16歳。
俺は今、目の前の女の言葉にびっくりしている。
「…は? 今なんて、」
「だーかーらぁー! 彼氏できたっ!」
頬を少しピンクに染めて、笑顔で言うコイツ。
蓮本アユ、同じく16歳。
俺の従姉妹であり、
小さい頃から想いを寄せる女でもある。
「啓太っていってねー、めちゃくちゃかっこ良いんだよ」
微笑みながらノロケ話をするアユは、
その啓太とかいうやつに貸していた
俺の服を手渡してきた。
そんなやつが着た服なんか、いらねぇよ…