近くにいた王子
仕方ないから着替えを済まして。
ご飯も食べずに家を出た。
こんな気持ちのまま寝てられっか。
俺が向かったのは、親友の陽人の家。
今は別々の高校だけど、マメに連絡取ってる。
許可も無しに勝手に家に向かうと。
「は? 光?」
少し驚きながらも顔を歪めて俺を見てきた。
「よっ」
「よっ、じゃなくて。なんだよ、こんな朝っぱらから」
「傷付いた俺の心を癒やしてくれ」
「……………は?」
意味が分からないという顔で俺を見たあと、
陽人はドアを閉めようとした。