近くにいた王子
なんか言ったら、急に泣きそうになってきた。
俺がどんな想いであいつを見てたか、
きっとアユは知らねーんだろうな。
いつだって1番近くにいたのは俺なのに。
なのにアユは、俺より突然現れた啓太とかってやつを選ぶのかよ…
それまで黙って聞いていた陽人が、口を開いた。
「お前今、後悔してんだろ」
後悔?
してるといえば、してんのかもな。
「だから俺、告れって言っただろ」
中学の頃、陽人はよく悩む俺に
“そんなに好きなら気持ち伝えろ”
って言っていた。
あの時、陽人の言葉を受け入れておけば良かった。
今更悔やんだって、仕方ないんだけど。