近くにいた王子


「後悔だけは、しないでね?」

「え?」


紗雪が訴えかけるように、俺に言った。


「あたしさ、陽人と池川くんの間で悩んでた時、陽人を諦めるって考えもあったんだ」


陽人と付き合う前、紗雪は池川と付き合っていた。

一時期、陽人と池川の間で悩んでいた紗雪。


「だけどね? あたし今、陽人を選んで後悔してない。
きっと、池川くんを選んでたら、後悔してたと思うんだ。
だから光くんも、後悔だけはしないで?」


自分の経験から、俺に言葉をかける紗雪。

紗雪は、池川より陽人を選んだ。

必死に悩んで決めたらしいけど、それに後悔はないという。

俺も、絶対に後悔だけはしたくない。




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