近くにいた王子
俺は紗雪に向かって、大きく頷いた。
この二人に話して良かったかも。
なんて、陽人を見直していたのに。
「はい、話終わりな。帰った帰った」
「は?」
「俺は久々にさゆと二人でいたいの。邪魔者は帰って」
俺を邪魔者扱いする陽人。
ちくしょー!!
自分だけ幸せな思いしやがって。
俺だってアユとああなりてぇわっ!
けどそれは今、啓太とかいうやつのポジション。
俺は黙って見てるだけ。
踏み込む勇気なんて、ないんだ。
諦めるか、
奪うか。
どうすれば、俺もアユも幸せになれる?