近くにいた王子


笑顔で言うアユ。

そして、そのまま向きを変えて歩き出した。


アユのこういうところが、俺は大好きなんだ。

啓太ってやつのついでだけど、

俺のためにクッキーを焼いてくれた。


『余ったからあげる』じゃない。

『光のために焼いた』なんだ。


これがアユの優しさなんだ。

いつでも俺のことを考えてくれてる。

誰かのついででも、俺もちゃんと頭の片隅にいるんだ。


それだけで、嬉しくなる。

だからアユのことを好きなのをやめらんねぇ。


だから………つらい。




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