近くにいた王子


俺はいつの間にか眠っていた。


夢の中に、アユが出てきた。


今より少し若い、中学1年の頃の俺とアユ。

奇跡的に同じクラスで。

仲が良かった紗雪とも、同じクラスだったっけ。


入学式の日、掲示板の前で3人ではしゃいだ。

そんな光景が、はっきりと映し出されて。



…目が覚めた俺は、泣いていた。


「っんだよ、これっ……」


頬を触ると、濡れていて。

胸がやけに、締め付けられた。


アユが好きで、大好きで。

アユの隣はずっと俺だと、信じていたあの頃。


何自惚れてたんだろ。

アユは俺から、こんなにもアッサリと離れて行ったのに。


「まじ、だせぇー………」


馬鹿で、ださすぎる。




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