近くにいた王子


学校を出て、アユとK学園へと向かった。

二駅分なんて、チャリを漕げばあっという間。


近くの駅を過ぎると、すぐにK学園が見えてきた。


「あれがK学園かぁー。意外に近いんだね」

「ていうか、K学園知らないなんて馬鹿じゃねー?」

「馬鹿って言うな、馬鹿!」


アユとくだらない言い争いをしていると、すぐにK学園の校門へと着いた。

そこに立つ、一人の学生。


「あっ、啓太ー!」


手を挙げて、アユはそいつを呼んだ。

啓太とかいうやつは、アユに気付くと、

同じように手を挙げて微笑んだ。


「おまたせー! 待った?」

「いや、待ってねーよ」


笑顔で話しかけるアユ。

俺に見せたことのない笑顔で、啓太ってやつと楽しそうにしてる。

俺がいることなんて、忘れてしまってるみたいだ。




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