近くにいた王子
その時。
「光と……蓮本?」
聞き覚えのある声がして、俺はまわりを見渡した。
すると、その声の主は、集団の後ろの方にいた。
「……陽人!?」
びっくりする俺に、顔を歪めてる陽人。
「なんでお前ら、こんなとこいんの?」
「それはこっちのセリフだっつの」
「俺は、K学園と合同練習なんだよ」
陽人は、前のやつに声をかけると、俺たちの元で止まった。
「んで、なんで冴木と一緒にいるわけ?」
「陽人、知り合い!?」
サラッと“啓太”の名前を言った陽人に、俺は驚くばかりで。
そんな俺に陽人、嫌そうな顔をした。
「ていうか光、覚えてねぇの? K学園の冴木啓太だよ。中学の時もいただろが」
陽人の言葉に、俺は記憶を辿ってみる。
「あー!! 思い出したっ!!」
「うるせーよ」
大声を出す俺に、陽人は大袈裟に耳に手を当てた。