近くにいた王子
K学園の冴木啓太といえば、バスケ部のエースだったやつ。
身長は小さいのに、なかなかのポイントゲッターだった。
こいつのプレー見て、よく陽人と騒いでたっけ。
ますます、憎めねー相手。
「もしかして…蓮本の彼氏って冴木?」
「へ? 高橋くん知ってんの?」
「昨日光に聞いた」
サラッとバラす陽人に、俺は蹴りを一発。
すると、倍にして返された。
「いって! 2回も蹴んじゃねーよ!」
「お前が蹴るから悪い」
なんか俺って、どうしても陽人には勝てない。
身長は俺の方が高いのに。
って、関係ねーか。
「ていうか、さっさと練習行けよ」
「今行くっての。お前は、冴木と蓮本の邪魔にならないように、さっさと帰れよ」
それぐらい分かってるっつーの!
今日の陽人は、やけに突っかかってくる。