近くにいた王子
中学1年の、入学式。
「光、光っ! 同じクラスだよー!」
俺の腕を掴んで、喜ぶアユ。
同じクラスなだけで、こんなに喜ぶか?
そう思ったけれど、掴まれた腕に、少しにやけてしまった。
「紗雪も一緒だよー!」
アユに言われ、目を向けると、
同じクラス内に、紗雪の名前もあった。
「また紗雪一緒かよー」
何気に紗雪とは、小学校6年間同じクラスだった。
幼稚園も一緒で、友達というよりは、幼なじみみたいな存在だ。
「光くーん?
あたしと一緒じゃ嫌なの?」
その時、
後ろから突然、低い声がして俺は振り返った。
「……紗雪」
そこには、不気味に笑う紗雪の姿が。