近くにいた王子
腕を組んで、怖いくらいの笑顔を、俺に向けてくる紗雪。
「いや…あのね、紗雪さん?
もうそろそろ、違うクラスでもいいんじゃないかと思いましてね?」
アユを好きとバレてから、紗雪にはあまり頭が上がらない。
尻に敷かれてるとでも言った方が、正しいだろうか?
いや、違うか。
そんな話は置いといて。
ニコニコと笑う紗雪、
引きつった笑顔の俺、
俺と紗雪を交互に見るアユ。
そして。
「アユ。光くん、あたしといたくないみたいだから、二人でいよーね」
お、おい! 紗雪!
「うん、そうだねー」
って、アユ!?
この時俺は、紗雪の扱いには気を付けようって、本気で思った。